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アイノキセキ
200621日〜25
下北沢「劇」小劇場

作・演出/南英司






■出演

板倉佳司

斎藤萌子

原田紀行(reset-N)

野水佐記子

三澤真弓

大島克哉

南英司

■スタッフ

舞台監督/間宏之

照明/溝上邦子

音響/なかがわあけ美

演出助手/橋口 裕

■タイムテーブル
  14:00 15:00 19:00 19:30

21日(水)

        〇
22日(木)         〇
23日(金)        
24日(土)   〇      〇  
25日(日)     〇    

  開場は開演の30分前、整理券は1時間前よりの発行となっています。
なお、未就学児童のご入場はできませんので予めご了承下さい。

■料金
前売り
3000円 当日3300

■予約・問い合わせ
当ホームページ内チケット予約フォーム-------こちらから。
もしくはエムズクルー/
TELFAX 03-3375-0383まで
お名前・公演日時・枚数・ご連絡先を明記の上ご送付下さい。

『アイノキセキ』/色川武大「狂人日記」より

■精神を病み、彷徨を余儀なくされた男とそれに付き添う女。
孤絶を深めるなか、それでも他者を求める思いと、二人の行方を見据えた「愛」の物語。


風のない夜で、静けさがおそろしい。
耳の底から響いてくるあの音が聞こえているようないないような。
分からない。
そのままバス停のベンチに座り、ライターの火で時刻表を見てみる。
1時間後にいつものバス、その1時間後に終バスがある。

昨夜、彼女は帰ってこなかった。
日中も連絡はないままだ。
病院の仕事でなにか異変があったのかもしれない。
たぶんそうだろう、そしてもしかしたら今頃、連絡が入っているのかもしれない、それともまた、いつかのように知人の車で送ってもらっているところなのかもしれない。
色々と考えてみるが、分からない。
ベンチを離れる気にはなれなず、じっと闇を見つめてみる。
危惧していた発作は今夜は起こりそうにない。
背中から力が緩んでいく。
そのままゆっくりとベンチに沈み込んでいきそうだ。
「帰ってこなくていいよ、圭子。その方がいい。外の世界としっかりと関わりなさい。」

声に出すと気持ちがしんしんと落ちついてきた。
いくらでも闇に向かって話し続けられるような気になった。
「もしも、許すという言葉が必要ならば、喜んで言うよ。許すよ、キミに関して、なにもかも。許したくてしょうがない。」
これまで一度も、誰に対しても言うことが出来なった言葉を口にした。
限りなく優しい気持ちになれた。

いつものバスだろう。
カーブの向こうから光が流れ込んできた。
汗くさいTシャツの裾で涙を拭った。


精神を病み、彷徨を余儀なくされた男とそれに付き添う女。
孤独を深めるなか、
それでも他者を求める思いと、二人の行方を見据えた「愛」の物語。